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ヒトミラーニューロン(8/1号)
平成19年 8月 1日号
今回の特集は
ヒトミラーニューロン
石井威望のコメント
今回の執筆者は、京都大学大学院医学研究科多喜純也氏、池田昭夫准教授である。ミラーニューロンがサルの実験において発見されて以来、ヒトのミラーニューロンを調べる方法として、主に機能的核磁気共鳴画像(fMRI)が使われている。ヒトに課題を与えてその時に反応している脳の部位を画像化し、非侵襲に観察する方法がこの10年急速に発展し、ミラーニューロンのマッピング視覚化が盛んになってきた。
新生児に“舌出し”に対する模倣行動があるのは古くから知られているが、それに対応する脳内のニューロンの部位が明確になったことは画期的な成果である。脳と知的な活動の対応関係を今や精密に追跡することが可能な時代になった。
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ポイント
1.他者の情報と自己の情報とのマッチングのシステム
人は他者の行動を観察し、模倣することにより新たな運動、行動を身に付ける。このような人の運動学習における重要な役割を担う脳の中の神経細胞群をミラーニューロンシステムと呼ぶ。この名前は、サルの腹側運動前野の研究において発見された、運動の視覚情報とそれに対応する自己の運動情報をマッチングさせる細胞に由来している。なお、マッチングは「聴覚情報」でも起きうることが発見されている。
2.ヒトにとり、たんなる社会性形成にとどまらず言語まで?
見て学ぶこと、他者の意図を理解することはヒトの社会性を形成する基本的要素であり、そこでヒトにおけるミラーニューロンネットワークの研究が進んできているが、まず模倣行動面では、経頭蓋的磁気刺激法から始まって、頭皮上記録脳波、脳磁図、指の動きなどを使った行動学的な研究を経て、現在は空間解像度にすぐれた機能的核磁気共鳴画像によるマッピングが研究の中心になっており、また認知機能面では、自閉症や共感など情動行動をめぐる研究が展開している。なお、ヒトの言語習得はミラーニューロンの発達によってもたらされたという仮説もある。
3.機能解明の進展によって、臨床応用への期待
ミラーニューロンの機能解明がさらに進めば、脳卒中後遺症からの回復過程の効率性を高められる可能性、再生医療分野における脳機能回復やBMI技術への利用など、臨床応用が期待される。また直接応用のために、硬膜下電極を用いる脳機能マッピングが可能か、検討中である。
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