キカンシネット アーカイブ一覧に戻る
バックナンバーはこちら


量子情報エレクトロニクスの課題と展望(7/15号)

平成19年 7月 15日号

今回の特集は
量子情報エレクトロニクスの課題と展望

石井威望のコメント

 1世紀の情報分野における最大のテーマの一つは、量子コンピュータである。現行のデジタルコンピュータは、20世紀に出現した量子力学以前の古典物理学を背景にしたビットによる情報表現(記号・数字など)で成り立っている。量子コンピュータは、ビットとは本質的に異質な量子ビット(キュービット)を用いており、原理的な一大飛躍が起こることは殆ど確実である。
 既に7量子ビットの試作コンピュータの実験は成功しており、量子ビットを通信に使うことも既に実用の域に近づいている。特に量子暗号の分野は、レーザーや超伝導などの新技術の応用分野としても有望である。今回の執筆者は、東京理科大学理学部 高柳英明教授である。

--------------------------------------------------------------------

ポイント

1.量子チャンネルで共通鍵を安全に送る
 one-time pad、すなわち一回きりの暗号を用いて送り手と受け手の間で情報の符号化→複合化を行う過程では、共通鍵が盗聴されなければ絶対安全である。共通鍵を単一光子のパルス列で送るのが量子チャンネルであり、そこでは外部の第三者が量子状態を乱すことなく暗号を観測することは不可能なので、盗聴された場合は即座に判明するのである。

2.安全性をめぐり、単一光子源か量子もつれ光子源か
 単一光子源としてよく使用されるのはレーザーによるコヒーレントパルス源であるが、1パルスに2光子入る可能性があるため安全性に問題があり、そこで現在注目されているのは半導体量子ドットであり、その長所は高い集積性、短所は低い量子効率あるいは低い動作温度となっている。一方、2つの光子が量子力学的に結びついた状態である量子もつれ光子源は盗聴者による攻撃に対して強く、また量子テレポーテーションや量子中継といった未来の通信方式にも有用な見通しである。
 
3.アバランシェフォトダイオードから超伝導単一光子検出器へ
 送られてきた光子列を受ける際に必要な検出器で、現在最もよく使われるのはアバランシェフォトダイオードであり、シリコンを用いたものが量子効率、応答速度、暗計数率において優れるが、応答周波数帯域において致命的な欠陥を有する。最近脚光を浴びつつあるのは窒化ナイオビウムを材料とする超伝導単一光子検出器だが、金属光沢面で光子が反射されてしまうため量子効率が低く、現在研究課題となっている。


バックナンバー

南極観測50年(5/15号)  2007年 更新




運営:第一資料印刷株式会社
Copyright (C) 2010 DAIICHI SHIRYO PRINTING CO.,LTD All Rights Reserved
〒162-0818 東京都新宿区築地町8番地7 / TEL 03-3267-8211 / FAX 03-3267-8222
.
第一資料印刷株式会社オンデマンド印刷なら ガップリ!セミナーテキストの印刷・製本なら セミナーテキストNAVI50冊からつくれるオリジナルノート 書きま帳+採用映像、各種採用プロモーションツールの制作・印刷 採用映像マニュアル制作.com機関誌・広報誌の紹介サイト キカンシネット機関誌づくりのお悩みにお答えします! 機関誌づくりブログ株式会社労働開発研究会