インターネット地図型情報交流システム―「カキコまっぷ」の実践(12/15号)
平成18年 12月15日号
今回の特集は
インターネット地図型情報交流システム―「カキコまっぷ」の実践
石井威望のコメント
今回の執筆者は、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻の真鍋陸太郎助手である。最近の都市工学のトピックスの一つとして、今回のテーマであるインターネットを利用した地図型情報交流システムがある。目下、大学の研究成果を踏まえて着々と実用化が進んでいる。民間の自発的な努力(NPO設立など)に加えて、行政の協力も課題になるであろう。
特に、街づくりにかんしてはサイレントマジョリティであった人々が、個人が主役といわれるCGM(Consumer Generated Media)の普及とともに、生活密着型の情報を地図と一体化して提供できるようになったことは、極めて大きな変化だ、と期待が高まっている。
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ポイント
1. インターネット上の地図を自由に歩いて情報を記入・閲覧する
従来型の都市情報集は、画一性、収集プロセスへの無配慮、アップデートな変化に対応不可能などの点で、これからの都市計画・まちづくりには不十分であり、それらの課題を克服するものとして期待されているのがインターネット地図型情報交流システム(iMIBs)である。地図を自由に歩いて情報を記入・閲覧することをインターネット上で行うものであり、@まちづくりワークショップのIT化、A現代的コミュニティ・カルテ作成支援、B「サイレント・マジョリティ」のまちづくり、C汎用型生活情報地図としての可能性、といった意義を有する。
2. 特徴と工夫をこらした「カキコまっぷ」はすでに幅広く活用
東京大学都市計画研究室の真鍋陸太郎氏らによる「カキコまっぷ」はiMIBsの実践の1つであり、ネット投稿にヒントを得たネーミング、携帯電話からの(写真を含む)「カキコみ」、便利な検索機能、双方向コミュニケーションのためのコメント付け、blogやRSS形式での配信といった点に特徴と工夫がある。現場での具体的事例は、行政から市民団体、また建物単位から市町村、全国レベルにまで及び、様々で幅広い。
3. 様々なベースマップ確保のためには行政による協力も必須
カキコまっぷのオープンソース化をおこない、さらに導入や活用を支援するNPOが設立されようとしており、大学を中心とした提供とは異なる展開が期待できよう。一方で、iMIBsのベースマップは活用目的に応じて様々であるので、行政による協力などが早急に求められる。