ポッドキャスティング―インターネットによる映像・音声配信(12/1号)
平成18年 12月1日号
今回の特集は
ポッドキャスティング―インターネットによる映像・音声配信
石井威望のコメント
今回の執筆者は、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科の河村智洋研究員である。最近注目のソフトウェアの一つがポッドキャスティングであるが、その場合ハードウェアの重要性もあわせて考える必要がある。そもそも、ipodの小型化,ポータブル化を可能にしたのは、過去10年間の驚異的なメモリの集積密度の向上であり、一説によると約6千万倍の飛躍であったと言われている。
かつて、殆ど不可能に思えたメモリの壁をブレークスルーした後には、再びソフトウェア面で、例えば膨大なメモリの中のコンテンツ(動画などを含む)を検索する問題が残されており、その面での次なるブレークスルーが待たれている。
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ポイント
1. 自由な再生・発信が可能な新しい映像・音声配信システム
アップルコンピュータ社のポータブル・オーディオ・プレーヤーiPodと、“放送”を意味するbroadcastingとの組み合わせをその語源とする「ポッドキャスティング」は、映像・音声をファイル単位でインターネットを使って端末まで送り届けることにより、コンテンツが見たい時の自由な再生、あるいは最新の自動ダウンロード、さらにはユーザからの発信も可能にする新しい配信システムの一つである。
2. RSS技術に対応して、最適なソフトであるアグリゲータ
ウェブサーバー上に音声ファイルをアップロードした際にその保存場所やファイルデータを記録できるRSSという技術があり、そしてそのRSSへとリンクするアドレスを登録・保存することによって、RSSの最新情報を入手し、RSSに関連付けされているファイルをダウンロードすることを可能にするのがアグリゲータである。ポッドキャストを視聴するにはこのソフトが最適であり、最も代表的なのがiTunesである。
3. 「見たいときに見る」は既存のメディアのあり方も変える
インターネットにおけるもう一つの映像流通革命として、自分が持っているコンテンツを自由に公開し、共有させるYouTubeがあり、数多くの利点によって利用者が爆発的に増加中である。「見たいときに見る」コンセプトはポッドキャストと同様であるが、そうしたメディアの普及は、映像・音声のコンテンツの担い手を個人に移行させ、最終的には広告、テレビ、ラジオ、映画などのあり方も大きく変えるだろう。