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法改正に対する今後の期待と課題 第59号

【目 次】

<巻頭言>
法改正に対する今後の期待と課題
副会長 黒木保博

法改正に伴う政省令等について……………4

2007年度全国社会福祉教育セミナー………5

実践教育 北星学園大学……………………7

実践教育 佛教大学…………………………9

三役会記録……………………………………13

評議員会………………………………………17

新規加盟校の抱負・期待……………………20

四谷便り………………………………………20

新任スタッフ紹介……………………………20

編集後記………………………………………20

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 「社会福祉士及び介護福祉士法」改正法案が第168臨時国会において可決・成立した。主な改正点は、定義規定・義務規定の見直し、資格取得ルートの見直し、社会福祉士の任用・活用の促進等である。この法改正により、社会福祉士・介護福祉士養成課程における教育内容等の見直しも行われ、2009(平成21)年4月から新しい教育カリキュラムによる社会福祉士養成課程が施行されることになっている。社会福祉士試験の試験方法や内容等については「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」で定められているが、この原稿執筆に時点(2月29日)では、上記の施行規則等の一部を改正する省令案等に対する意見募集が公表されている。ここでは、これまでに明らかにされた資料等を参考にするが、ともかくも2008年度は、学校連盟加盟校一斉にこの教育カリキュラム検討が喫緊の課題となる。

 ここでは法改正の内容説明は省略し、改正に至るまで様々な取り組みの振り返り、養成課程における新たな教育カリキュラム等の内容紹介、期待される諸点、そして今後の課題について、社会福祉士養成課程を中心にしながら述べてみたい。

 振り返ってみれば、今回の見直しの背景として指摘されているように、介護・福祉ニーズの多様化・高度化に対応する社会福祉改革が次々と実施された。これらの改革と付随して福祉人材の確保・資質の向上も必須であることから、その促進を図ることが求められてきたといえよう。1980年代から1990年代初頭に高齢者福祉を中心にした社会福祉改革が始まったが、その中での福祉人材確保対策として、社会福祉士及び介護福祉士国家資格制度創設がなされた。次の段階は、1990年代後半から始まった社会福祉基礎構造改革による社会福祉制度再編があった。とりわけ2000年の介護保険制度実施からは、福祉サービス供給体制、公的責任のあり方、サービス給付や財政構造などに大きな構造変化が生じた。この一連の改革過程で制度改革の担い手となる福祉人材の必要性が叫ばれたことから、大学での福祉系学部・学科設置という「福祉ブーム」が起こり、学校連盟加盟校は急激に増加していった。しかし、一方では福祉人材の確保・資質向上のための社会サービスや社会システムの見直し、教育課程の見直しの必要性が指摘されていた。制度化から10年、15年過ぎても、実態としてはまだまだ社会的認知・承認を受けた専門職になっていないことへの懸念からの見直し指摘であった。

 各段階においては、まず職能団体である(社)日本社会福祉士会、(社)日本介護福祉士会、あるいは(社)日本医療社会事業協会、NPO法人日本ソーシャルワーカー協会の積極的な取り組みがあった。福祉人材の定着と研修の充実等にエネルギーが注がれた。

 学校連盟も任意団体として発足以来、社会福祉学教育水準向上と福祉人材育成のための教育課程のあり方、研修のあり方を重要視し、各種委員会での検討、そして具体的取り組みを続けてきた。学校連盟は、1987年の国家資格制度化にあたってはその実現に向けての運動で先頭に立って展開した。(社)日本社会福祉士養成校協会(社養協)設立後はお互いに強い協力関係を保ちながら、この活動を展開してきた。たとえば、2004年度学校連盟総会では「社会福祉士国家試験出題区分及び試験科目シラバスの議題見直しに関しての意見書提出の件」を提案し、承認を得た。この承認により、社養協との合同委員会「社会福祉士国家試験制度問題検討委員会」を立ち上げ、2005年12月に「社会福祉士国家試験制度に関する提言」を提出した。また、2005年10月学校連盟は東北福祉大学にて学長会議を開催し、協議内容から「社会福祉専門職有資格者の採用促進と待遇改善に関するアピール」としてまとめ、関係省庁、都道府県、関係団体に対するアピールを行った。12月には学長会議発起人メンバーと厚生労働省との懇談会が開かれた。このような長年の学校連盟の取り組み、そして社養協の取り組みが今回の法改正への契機の一つになったと考えられる。

 さらには日本学術会議社会福祉・社会保障研究連絡委員会も継続的に社会福祉の教育・研究に関する意見や報告を出してきたことも一つの契機である。「社会福祉に関する研究・教育体制の拡充・強化について−高齢社会に対応する社会サービスの総合化対策の一環として−」(報告)(1997年)、そして「ソーシャルワークが展開できる社会システムづくりの提案」(2003年)などがある。そして、この委員会の呼びかけで、職能団体・教育団体・学会等の関連構成団体が参加した「ソーシャルケアサービス従事者研究協議会」が発足し、団体独自の事業展開と共に、情報交換会、シンポジウムやフォーラム開催等を通じた相互連携・取り組み活動が実施されてきた。

 以上のような職能団体、教育団体、学会等の日常的活動の継続が素地となって、今回の見直しへの対応ができたことを高く評価をしたい。

 さて、法改正のために、2006年12月には社会保障審議会福祉部会から「介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見書」が提出された。社会福祉士養成の現状と課題を明らかにすると共に、より実践力の高い人材養成を実現するための意見として、教育カリキュラムの在り方、それぞれの資格取得ルートの在り方、実施時期についての意見が述べられている。とりわけ教育カリキュラムの見直しでは、指定科目名の見直しと時間数の増加、そして実習に係わる時間数、教員要件、実習指導者要件、施設整備要件等の在り方としての福祉系大学等ルートにおける新たな基準化が内容になっていた。今回の改正法は、この意見書に対応する内容となっている。

 即ち、今回の見直しでは、まず社会福祉士の役割、必要とする知識が明示され、これに対応する教育カリキュラム科目群の構成が示され、一般養成施設における時間数を1,200時間とした。また教育内容(シラバス)国家試験によって社会福祉士として必要な知識及び技能が評価されることから、出題基準の中で網羅的に反映させるとしている。学校連盟加盟校の多くは、大学における社会福祉士受験資格取得のための指定科目・基礎科目を設置しているが、いわゆる講義科目については指定科目の名称と一致する科目の名称により教育が行われていれば、あるいは一定の読替の範囲であれば、養成施設の教育内容と同等であるものとして取り扱われる。つなり現行の仕組みが基本的に維持されることになっている。しかし、大学等によってその教育内容にばらつきが大きい実態から、実習・演習の教育内容や時間数、教員と実習指導者の要件等については養成施設と同等の基準を満たさなければならないことになったのである。

 次に、学校連盟の立場から、今回の改正からの期待と課題を述べておきたい。第一には、国会可決・成立の際の附帯決議11項目にある内容に対して、改正法の施行に当たり、関係省庁、都道府県、市町村による適切な措置を講じて欲しいという期待(願い)と課題である。とりわけ今回の改正事項の実効性を高めるための社会福祉士の任用・活用の拡大への期待がある。雇用管理や労働条件の改善の促進、生涯を通じた能力開発及びキャリアアップの支援、潜在マンパワーの就業促進のための労働力確保対策への期待となる。これは社会的認知・承認を得るための、より実践力の高い人材養成を実現することになるという期待である。これから福祉を目指す人材にとって、働きがいのある魅力をもつ職域や職種になれるかである。福祉人材の確保のみならず入学人材の確保に繋がることになる。

 第二には、そのためには先に述べた過去の経緯にもあるように、受身的態度ではなく、職能団体、学校連盟各加盟校のさらなる能動的努力、かつ学校連盟としての積極的取り組みへの期待である。山積していた課題がすべてクリアされたのではなく、次なる課題がでてくるし、まだまだ一里塚であることを肝に銘じておきたい。先は長いのである。

 第三には、今回の改正によって、養成教育の質を保証と向上をすることからの大学に対しても実習・演習の基準化がなされたことへの期待?と課題である。ある意味ではこの基準化は、各大学に対して、実践力なき専門職者を生み出していたのではないかということへの「反省」を求め、これからの真摯な改善とともに期待を込めた「評価」であると受け止めたい。多くの大学は1987年の制度創設以来、将来の福祉人材の輩出をすべく責任と自信を持って福祉教育に携わってきたのである。しかしながら、他の社会的認知・承認を受けている専門職養成教育内容と比べて、やはり見劣りする養成課程システムや内容になっていたことは残念ながら認めなければならないだろう。いわばわが国の国家試験受験資格取得としての養成課程では、養成施設と同じ指定科目の名称と一致する科目名称であれば、資格取得ができるという一番緩やかな条件になっているのである。実習時間180時間をクリアしていない大学、一致する科目名ではあるが、異なる教科内容で教えていた大学等々が出てきていた。いわば「合法的抜け道」を許容する結果となったことは残念であるが、基準化によってお互いのレベルアップにいかに繋がっていくかの期待と課題がある。

 第四には、今回の見直しを契機にして、加盟校は、社会福祉学教育と社会福祉専門職養成教育のあり方を検討できることからの期待と課題がある。成果主義教育、あるいは合格率ランキングによる評価という現実があるが、各大学の独自性・特色ある教育理念・目的・目標・教育課程・教育方法・教材開発等々、今一度、検討のチャンスが出てきたといえよう。各大学の責任において、質の保証と担保をしなければならない。

 第五には、さらなる教育方法の充実をはかっていかなければならないという期待と課題がある。実践と理論を繋ぐために他分野では症例研究、判例研究、事例研究等で実践力ある専門家を養成してきた伝統をもっている。実践的な判断・見識、理論的な知識・科学的な判断をどのように見に付けさせるか、いわゆる社会福祉士としての物事が考えられる教育方法を検討しなければならない。講義科目と演習・実習との関連での検討である。つまり、実践力を身に付けさせるためには、専門職養成教育だけで完結するはずはなく、教養教育との接合が重要である。これは学校連盟としても取り組んでいかなければならない。





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