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社会福祉教育における専門職養成教育のあり方 第57号

<巻頭言>
社会福祉教育における専門職養成教育のあり方
会長 黒木 保博

平成18年度通常総会 議事録……………………………… 3

第1回理事会議事録………………………………………… 6

第1回評議員会議事録……………………………………… 11

平成18年度委員会活動報告………………………………… 19

国際会議報告………………………………………………… 42

国際社会福祉学校連盟大34回国際大会…………………… 47

第8回福祉教育研修講座…………………………………… 48
社会福祉教授法の研究方法
〜実践評価のあり方、「差別の考え方」〜

セントルイス便り…………………………………………… 50

新規加盟校の抱負・期待…………………………………… 51

編集後記……………………………………………………… 51

四谷便り……………………………………………………… 52

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 ご承知のように、社会保障審議会福祉部会における4回の審議を経て、「介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見」が12月12日付でまとめられた。この意見を受けて、厚生労働省は通常国会での法改正提案の予定である。社会福祉士に関する在り方の意見内容は、T、社会福祉制度の現状と課題、U、社会福祉士の養成の在り方、V、社会福祉士の任用・活用の在り方が骨子となっている。より実践力の高い人材養成を実現するための意見として、Uでは、社会福祉士の養成の現状と課題、教育カリキュラムの在り方、それぞれの資格取得ルートの在り方、実施時期についての意見が述べられている。とりわけ教育カリキュラムの見直し、指定科目名の見直しと時間数の増加、そして実習に係わる時間数、教員要件、実習指導者要件、施設整備要件等の在り方としての福祉系大学等ルートにおける新たな基準化が内容になっている。

 個人的には全面的見直しの基本的方向と今回の意見内容にほぼ賛同したい。今後は意見の中で指摘されている社会福祉士養成教育内容等の見直し、国家試験の在り方等をめぐる専門家・実践者による作業チーム設置とそのチームの検討内容を注目していきたい。

 加盟校宛のメールでお知らせしたように、6月総会後、加盟校からの意見集約、三役会を経て学校連盟としての見解・意見を社養協宛に提出、またこの間、文部科学省との会見を3回重ねてきた。また、11月25日の社養協主催シンポジウム「社会福祉士制度改正と養成教育の方向性」では、シンポジストとして、社会福祉教育における8つの実践力のある専門職者養成方策を述べさせていただいた。今回の見直し検討と平行しながら、福祉系大学・養成校が責任を持って早急に検討作業すべき方策としてお伝えしておきたい。

 第一には、高等教育機関において学ぶ一般的学生の特徴を熟慮した方策が必要である。 つまり、実践力を身に付けさせるためには、専門職養成教育だけで完結するはずはなく、教養教育との接合が重要ということである。大学教育の伝統的特徴は教養教育にあるといえよう。現在では西洋古典を基礎とする人文教育の伝統的エリート教育ではなく、市民的教養としての一般教養、社会が提起する課題に答えられる教養教育と姿を変えている。2002年の中央審議会答申『新しい時代における教養教育の在り方について』では、各大学には教養教育の在り方を総合的に見直し、再構築することを強く求めている。学生力の低下が指摘されている中、知識の高度化、複雑化、流動化において、教養教育で何を身に付けさせるのかを明らかにしなければならない。たとえば、教養教育において「倫理学」「生命倫理」を学び、専門教育でソーシャルワーカーの倫理綱領を学べば、専門者として深い理解ができると思われる。このような教養教育に裏づけされた専門教育課程を考えると、自ずと教養教育と専門教育の科目数、単位数のバランスが検討されるだろう。いわば国家試験にのみ合格すれば良いということではなく、豊かな教養も身につけさせる工夫が必要であろう。

 第二は、単なる職業的実務家の養成教育ではなく、公共的使命をもったプロフェッショナル養成教育であるという視点から検討すべきである。社会福祉分野の専門家の取り扱う世界は、医師や弁護士のように先端に行けは行くほど実証の厳密さ、確実さが要求されるよりは、逆に他の学問領域とのつながりを不可欠にする学際的構造となっている。そのためには幅広い教養をもつ視点こそが仕事を支えてくれる世界であることを理解させる必要がある。

 第三には、この専門家養成のための教育方法の充実をぜひ検討していただきた。実践と理論を繋ぐために他分野では症例研究、判例研究、事例研究等で実践力ある専門家を養成してきた伝統をもっている。実践的な判断・見識、理論的な知識・科学的な判断をどのように見に付けさせるか、いわゆるソーシャルワーカーとしての物事が考えられる養成教育方法を検討しなければならない。講義科目と演習・実習との関連での検討である。

 第四には、教育の質を保証することから基準化は必要ではあるが、各大学・養成校の独自性・特色を生かした教育理念・目的・目標・教育課程・教育方法が実施できる方策が必要である。各大学の責任において、質の保証と担保をしなければならない。

 第五には、学部教育だけでの専門職養成教育にはどうしても限界性があることは明らかである。社会福祉士養成教育をいかに大学院教育とのつながりで考えていくかの方策が必要である。大学院における高度職業人養成教育、社会人レカレント教育の在り方が問われている。また大学院教育は、今後の研究者養成を使命としており、その教育課程や指導方法にもこの際、検討をすべきである。現在、学校連盟加盟校の福祉系学院は前期課程・修士課程88校、後期課程46校であるが、今後も増加の傾向が有り、大学院教育の実質化に取り組む必要がある。

 第六には教育機関と専門職団体と連携ができる方策が必要である。

 第七には学校連盟と社養協は教育団体としての役割や貢献をどうするかをこの際に検討しなければならない。加盟校としての積極的関与をお願いしたい。

 第八には、相互評価システムの確立をするための早急な方策が必要である。今回の福祉部会意見では、指定科目設置は従来どおりに大学の責任となっている。国家試験では評価が難しい実習・演習系の指定科目については、福祉系大学ルートにおいても教育内容、時間数等に新たに基準を課すとなっている。この場合、将来には基準通りの教育が実施されているかについての地方厚生局による監査・指導が実施されることになるかと思われる。いわば監査・指導を受けることが最低基準の証にならないようにするための方策を検討すべきである。平成14年の学校教育法改正により、各大学・短大等はいわゆる認証評価機関による評価を7年以内ごとに受けることが義務化されたが、この際、教育研究水準の向上や活性化を努め、社会的責任を果たしていくためにも福祉系大学・養成校の相互評価システムが不可欠と考えている。学校連盟は社団法人化において、アクレディテーション実施を事業とすることをお認めいただいていることも有り、加盟校の協力を得て、早急に検討することにしたい。





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