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肢体不自由教育
肢体不自由教育
「肢体不自由教育」は、1969年に、肢体不自由児及び重複障害児の教育・福祉に携わる実践家を中心に設立された、日本肢体不自由教育研究会(2002年、特定非営利活動法人に改組)の機関誌です。会員相互の教育実践や研究を交流する場として、年5回刊行しています。最近話題となっている特別支援教育に関する最新の情報も掲載しています。会員(会費年額4000円)に優先的に配付しています。
   
編   集 :  特定非営利活動法人 日本肢体不自由教育研究会
発   行 : 社会福祉法人 日本肢体不自由児協会
発行回数 : 年 5 回
定期購読 : 一般会員:4,000円 (詳しくは、ホームページをご覧ください。)
 

立ち読みコーナー

第181号  第185号
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授業で伸ばす表現する力(No.175)

 新年度が始まりました。学年が変わったり、周囲が変わったりして、まだ環境に慣れない子供たちも多いことでしょう。
 今回の特集では、子供たちが自分を表現する力は、どうしたら伸ばすことができるかを考えてみました。文芸活動や絵画指導の実践を盛り込み、「コミュニケーションの力」との違いも考えることができたと思います。
 発達の初期段階では子供からの表出を「自分に向けられたと思いなす」大人がいることで人に向けた表現になり(鯨岡氏)、他者を意識できることで表現に広がりが生まれてきます(遠山氏)。子供の発達にとって、大人の存在の意味の大きさを改めて考えることができました。
 松村先生の論説と四本の実践報告は、これからの皆さんの授業に役立つものと確信しています。お忙しい中、執筆してくださった先生方に感謝いたします。
 紙面の都合で、青森第一高等養護学校の生徒さんの作品を十分に紹介できませんでした。ぜひ、ホームページでご覧になってください。(武井純子)

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・特集
授業で伸ばす表現する力

子供たちの「表現したい」という気持を育て、高めるという視点から、授業で子供の表現する力をどのように伸ばしていくかについて多様な実践から迫ります。


・巻頭言
「作家」である自分が 私は一番好き
岡田なおこ
作家


・論説
表出から表現へ―関係の中で変わる子供の表現活動―
鯨岡 峻
京都大学大学院教授

表現する力を引き出す―子供の気持に寄り添うことによって―
遠山 文吉
国立音楽大学教授

子供が日々繰り返している行動を取り出すことから
松村 緑治
東京都杉並区立済美養護学校教諭


・実践報告
生徒一人一人が力を発揮する集団授業の工夫
下川 和洋
東京都立府中養護学校くぬぎ分教室教諭
音楽とのかかわりを通して表現しようとする力
井上 久美
大阪府立たまがわ高等支援学校教諭(前大阪府立交野養護学校教諭)

自己の内面を見つめる文芸活動の取組
藤川 雅人
青森県立青森第一高等養護学校教諭

絵画の創作により表現する力を育てる
徳田 景
鹿児島県立鹿屋養護学校教諭(前鹿児島県立鹿児島養護学校教諭)

 
・連載講座:肢体不自由児の「数の指導」(一)
「数と計算の指導」の系統性と指導上の困難さ
川間健之介
筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授


・講座Q&A
進路指導―自立生活に向けて―


・人物紹介
早瀬俊夫先生と戦後肢体不自由教育
保関 建典
元大阪府立堺養護学校


・福祉制度の基礎知識1
新たな福祉制度の展開
朝日 雅也
埼玉県立大学助教授


・ちょっといい話 私の工夫
一人一人の力を伸ばす授業づくりと教材・教具の工夫
小川 孝治
千葉県立長生養護学校教諭


・医療的ケアの最前線
医療的ケアをめぐる法律的整理
下川 和洋
東京都立府中養護学校教諭


・特別支援教育の動向
川崎市の特別支援教育の展開と肢体不自由教育
巴 好子
川崎市総合教育センター 指導主事


・図書紹介
『障害の重い子どもの授業づくり―開く・支える・つなぐをキーワードに―』
飯野順子 授業づくり研究会I&M 編著


・読者の声

障害者自立支援法と子供たちの自立と社会参加
逵 直美
三重県立草の実養護学校教諭

 障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、障害者自立支援法が四月から施行されました。一連の改革のねらいには、福祉サービス「一元化」、障害者がもっと「働ける社会」にするなどがあります。本校でも平成十七年度にこのことについて県の担当者を招き、教職員と保護者が参加する研修会を持ちました。「また制度が変わってしまうのか」、「今後、施設や事業所がどのように変容していくのか」、「重度の子供たちへの負担や地域生活はどうなっていくのだろうか」など不安を感じています。
 今こそ「ノーマライゼーション」の理念、自立と社会参加を目指し取り組んできた自己選択・自己決定の力、そして施設から地域への流れを止めてしまうことにならないような取組が学校に求められているのではないかと思います。
 できることはたくさんあるような気がします。積極的に、学校の外に出かけいくことも一つです。公共交通機関を利用することで、駅には、エレベーターの設置、そしてノンステップバスが導入されていきます。これらの活動を通して、何よりも、子供たち自身が、社会の不便さに気づき、そのことを社会に訴えていく担い手になっていくことになります。
 地道な活動を通じて、子供たちが、地域社会の中で豊かに生活できるような支援をしていきたいと思います。そのためには、危機感を持った取組や学校と外との新たなつながりを持つなどの意識改革が私たちに求められているのではないでしょうか。


医療機関との連携―共通言語の活用を通して―
北澤 拓哉
茨城県立下妻養護学校教諭

 個別の教育支援計画を機能させるためには、本人・保護者を取り巻く関係機関が本人の困難な状況を把握し、支援目標や評価を共有し、関係機関同士の連携の在り方がポイントになります。本校では異職種間の連携を円滑に行うため、共通言語としてチェックリストを試行しています。さらに、その結果を、個別の教育支援計画を作成する上での生活全般にわたる客観性のある資料としても位置づけています。
 本校は、病院に併設していない肢体不自由養護学校のため、医療との連携は必須ですが、一方的な情報収集にとどまっていました。そこで、子供の生活目標を共有し、双方で専門性を生かした支援を実施するため、双方向的な連携システム「教育医療サポートネット」を発足させ、その中で共通言語としてのチェックリストを開発しました。
 リハビリテーションの分野で評価尺度として知られる『PEDI―子どもの能力低下評価法―』の項目と『ICF―国際生活機能分類―』の環境因子を抜粋し組み合わせました。児童生徒のADL(日常生活動作)の実行状態と環境因子を関連づけて分析し、課題発見や目標設定を行うことが目的です。
 その際、教育側は「実生活でのADL」の情報を、医療側は「身体面からみたADL」の情報を持ち寄り、さらに評価結果を学校での指導に関する「関連図」に生かして個別の教育支援計画に反映します。そしてリハビリテーション場面の見学の際に一年間の評価を行って双方のプラン修正を図ります。
 双方が不足している情報を補完し、同じ方向から支援を行うため、生活全般におけるQOLの向上に寄与できるものと確かな手応えを感じています。


新しい学校ができました
島 清徳
石川県立総合養護学校教諭

 石川県立平和町養護学校は昭和三十三年に石川整肢学園の園内に特殊学級が設置されてから約半世紀を金沢市平和町の地で医療機関と連携して肢体不自由教育を行ってきましたが、平成十八年四月から石川県立総合養護学校として金沢市北部JR森本駅近くに金沢こども医療福祉センター(旧石川整肢学園)と共に新築移転しました。
 平成十八年四月から肢体不自由部門、平成二十年四月には知的障害部門が開校し、石川県では初めての総合養護学校となります。
 開校に向けての準備は保護者や地域の多大な協力を得て平成十六年度から本格的に始まりました。教育課程から消耗品に至るまで何度も何度も会合を重ねてきました。移転に伴い@教育組織、A校舎・施設設備、Bスクールバス、C給食等が大きく変わりました。
 @教育組織は、現在の小学部・中学部に加えて、高等部と在宅訪問が新しく設置されました。
 A校舎は新築ですが、その中でも特色ある施設設備を挙げると、感覚学習室(スヌーズレンルーム)は揺れと光や音により心地よい感覚刺激を体感できる空間で、室内温水プールは大小のプールとジャグジーを備え、地域支援棟は地域支援(小・中学校等)と早期からの教育相談に対応しています。
 Bこれまでスクールバスはありませんでしたが、現在三台走っています。
 C整肢学園と併設の時と異なり、学校給食があり、食堂は広く中庭と南側テラスに囲まれた明るく温もりのある部屋です。
 特殊教育から特別支援教育へと日々変化していきますが、変わらないものがあります。それは子供たち一人一人を大事にする教員の姿勢と情熱です。
 新しい充実した施設の中で一人一人の自立に向けて子供たちを育んでいきたいと思います。

エイブル・アート
吉川 知夫
東京都立江戸川養護学校

  エイブル・アート・ジャパンは、日本で障害のある人たちの芸術活動を援助しているNPO(民間非営利組織)で、「社会の芸術化、芸術の社会化」をキーワードに活動しています。一九九三年に実施された「障害のある人たちの芸術文化活動に関する実態調査」から、それぞれの活動を結ぶ横断的なネットワークの必要性が認められました。そこで、障害のある人たちの芸術文化活動に携わってきた人々が協力し、「日本障害者芸術文化協会」が設立されました。障害のある人が生み出すアートをエイブル・アート(可能性の芸術)と名づけ、一九九五年から(財)たんぽぽの家と共同で「エイブル・アート・ムーブメント(可能性の芸術運動)」を提唱し、東京都美術館での「エイブルアート展」の開催、各地での展覧会やシンポジウム、ワークショップなどを開催してきています。 エイブル・アート・ムーブメントは、「人間の可能性に挑戦する創造的活動をとおして、人間性を恢復(かいふく)する芸術運動」と定義され、そのキーコンセプトは、@自己実現(最善の自己になる)、A交流(コミュニティ・共生)、B癒し(生命の恢復)、の三つです。ホームページ(http://www.ableart.org/)には、障害のある人たちが芸術活動を行えるアトリエの紹介や、全国の美術館のバリアフリー情報等に関するアンケート調査結果などの情報が掲載されています。二〇〇〇年から名称を「エイブル・アート・ジャパン」に変更し、活動を展開しています。 肢体不自由児・者の美術展 社会福祉法人日本肢体不自由児協会は、全国から作品を募集し、毎年美術展を開催しています。平成十八年度は二十五回目の美術展が行われます。  障害のある方々が生きがいのある充実した生活を営むことは、自己表現の機会を拡大して社会参加を図り、人間性を豊かにするだけでなく、周囲の人々の心のバリアを取り除き、共に生きる明るい社会をつくるためにも大切な力となります。


■キーワード
■トピックス
■次号予告
■編集後記


バックナンバー

未来への希望(No.196)  2010年 更新
移行支援の充実(No.179)  2007年 更新

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